知床シーカヤックエクスペディション 101 #3
おはようございます!
ッてな具合に3日目の朝を迎えました。 本日も4時に起床!というか明るすぎて寝てられません。
サンライズを見られるようにテントを張ったのですが、バッチリでした。 山の斜面もモルゲンロートに輝いていました。 難破した船の残骸。
風がなく海が穏やかな朝は、静寂に包まれています。
3日目だというのに目が覚めたばかりだと状況をつかめず、辺りを見回しても夢なのか現実なのか区別がつかないような不思議な気持ちになりました。今いる場所があまりに日常からかけ離れすぎていて受け入れるのに少し時間がかかります。
写真の難破船の残骸は、とても古い船のもの。打ち上げられている場所からして、もしかしたら「ひかりごけ事件」の船かもしれないと新谷さんが言っていました。もちろんそれはわかりませんが、そんなことを想像するのもとてもワクワクすることです。 知床のビーチはほとんどがゴロタです。テントを張る前にフラットを出しておくことが大切。
寝心地はどうですか? ウィ〜ン、ジョリジョリジョリ・・・と知床に似つかわしくない音が聞こえてきたと思ったら、しっかりシェーバーを持ってきている佐川さん。 おっしゃ!今日もペッタペタに凪ってるぜ!
と、果たしてこの海を漕ぐことに”気合い”は必要なのかと思ってしまうくらいのコンディション。その分景色を満喫しましょう! さあ、今日はいよいよ岬を越えます。
太平洋側からオホーツク側へ。
景色が一変しこれからは海から昇る朝日は見ることができません。 いつも朝6時半から7時くらいの間に出航するのですが、ひんやりとした朝の空気の中をクルージングするように漕いでいくのは本当に気持ちがいいです。
以前、バンクーバーアイランドを訪れたとき、早朝の港内を一人で漕いでいるカヤッカーを見かけたことがありますが、生活の一部として、または、日課のジョギングのように朝のパドリングを楽しめたら最高だなぁと妄想にふけったことがあります。知床ではほんの6日間でしかありませんが、短期間でも毎日こんな気持ちよさを味わえるのかと思うととても幸せです。 目の前に突然現れたアザラシ。
彼も朝ご飯を食べているのかな? 知床岬の佐々木さんと2年振りの再会だという新谷さん。
なんだか怪しい取引をしているようです。(本当は怪しくありません) かなりパドリングに慣れてきた原さん。ほぼ全員がラダー(船についている舵)を入れている中で、ラダーを使わず積極的にカヤックを傾け知床前に練習したリーン(傾き)を使って自由に動き回っていました。
練習の成果ありですかね。 アブラコ湾に上陸。ここから岬の灯台までプチハイキングです。
新谷さんは通常この遠征中には、必要がない限り岬に上陸することはないと言っていましたが、あまりに穏やかな日が続いていて、ここまで余裕でたどり着いてしまったので、ちょっと寄り道をしてくれたみたいです。
灯台までは約15分。急な坂を登っていきます。 岬の丘にはだだっ広い草原地帯が広がります。
南には知床の山並みが続いています。
冬になれば積もった雪の上をスキーで歩くこともできますが、この時期は薮が多すぎて、山の中を歩くことはとても困難だそうです。 ついに岬を越えオホーツク海へ。
「73回目の知床」という新谷さんの書いた本がありますが、そこでは、台風が接近し非常に険しい海を漕いで岬を越えていました。
参加する前にイメージしていた知床は、そこまで荒れていないとしてももう少しハードなものを想像していました。ぼくらはラッキーすぎたのか、今のところなんの苦労もなく岬を越えることができました。
ぼくらは甘やかされすぎている!このままで終わるわけがない!ここは知床だよ!
ナイモノネダリ。そろそろメンバーも少しずつだと思いますが、苦労を望んでいたのかもしれません。
次々と現れる巨岩、奇岩に圧倒されながら、景色を満喫。
すると、なにやら丘の上で黒い点が動いている
あ、くま
ウトロ側は羅臼側に比べてヒグマの出没率がぐっと上がるよと聞いていたのですが、今まさにヒグマの登場です。
あまりにのんびりと漕げるので、広い湾に入ったところで新谷さんが
「よーし、ここから自由に漕いでいいぞ〜」
と一旦解散してくれました。
その時に発見したのが、このビーチに転がっていた巨大な背骨。大きさはぼくの乗っているカヤックくらいはあるだろうか。クジラかな? ものすごく目立っていた「獅子岩」 そして、小さな入り江にまた上陸。
すると
「今日はここに泊まる」
と新谷さん。
「え、まじ!?」
まだお昼前だけど今日はここでのんびりするらしい。新谷さんもここに泊まるのは久しぶりとのこと。
新谷さんが言っていました。
「嵐が来る前に素早く漕ぎ切ることもある。嵐を待ってゆっくり漕ぐこともある。それでも嵐が来ないこともあるけどな。」
・・・”嵐待ち”かいな。
ここは通称”落合湾”
以前、この遠征に参加していた落合さんがこの湾で同じく参加していた女性とカップルになったことからこの名前がついたとか。(たぶんそんなことを言ってたと思う)
今では海上保安庁の地図にも「通称”落合湾”」と記載されています。
知床の海は透明度が高くて本当にきれいです。 ”知床岬の佐々木さん”からいただいた取りたての新鮮なウニ!まだ消化されていないものも入っているけど、こんなにあっさりしたウニを食べたのは初めてでした。実はウニってあえて好んで食べていなかったけど、本当に新鮮なものを食べたことがなかったからだと気がつきました。
ウニうまい! 「のんびりしなさい」
というので、本当にのんびりさせてもらいました。
幸せ・・・ すると
!!!
またヒグマ! ぼくらから数十メートルのところに突然現れ、何の躊躇もなく海へドボンと飛び込み、対岸へ上陸して、そのままどこかへ行ってしまいました。
全員、カメラは構えていたと思うけど、あまりに突然で唖然としてしまいました。
彼はぼくらに気がついていたのでしょうか。これで、周辺の散歩も気をつけなくてはという実感がわきました。 ここにもクマが・・ そして、ここにも。
ここはわき水が流れ込んでいるところです。潮が引いているうちは、岩のくぼみがプールになっているため、ちょっとしたお風呂。淡水が多く入っているので、上がったあとも体はサラサラです。 筋斗雲メンバーは全員で真っ裸になりプールで水浴び。いい大人の男が4人で裸でキャッキャ言っている姿はなかなかお見せできません。
そこへ知床の観光船が近寄ってくるではないですか!観光客も驚きだったと思います。
「先住民がいるのか?」って
キャンプに慣れ、時間にも余裕が出てくるといろんな遊びを考えます。ようはヒマだから。
流木のバランスボードに挑戦!
やたらと高い場所へ登る人と昼寝をする人。 ラジオの気象予報を聞いて天気図を描く新谷さん。
嵐はまだかと考えているのでしょうか? 知床の西の海であるオホーツク側へ来たことによって、ようやく海に沈むサンセットを見ることができました。
みんなも待ちに待ったという思いかな。
相泊(アイドマリ)から出発して3日目。一緒に漕いで、同じ景色を見て、焚き火を囲み3食を共にしていると自然とメンバーに一体感がうまれてきているような気がしました。それぞれ思うことはいろいろでしょうが、感動を共有していることに間違いないでしょう。このメンバーで良かったと思えることができたのは、とても価値のあることだと思います。これも新谷さんの人柄がそうしているのだとも思いました。大自然の中で大きな声を出して笑えることはとても幸せなことです。 いつもと同じように太陽が昇るところから1日が始まり、夜になり1日が終わる。そんな当たり前のことがほんの3日間続いているだけで、とても気持ちが落ち着いていることに気がつきます。
充電、リセット、いろいろな言葉があると思いますが、この遠征が終わりに近づいていることを少し寂しく感じ始めている頃でした。
本日の航路:赤岩〜アブラコ湾(知床岬)〜落合湾
つづく
kenichi
ッてな具合に3日目の朝を迎えました。
サンライズを見られるようにテントを張ったのですが、バッチリでした。
風がなく海が穏やかな朝は、静寂に包まれています。
3日目だというのに目が覚めたばかりだと状況をつかめず、辺りを見回しても夢なのか現実なのか区別がつかないような不思議な気持ちになりました。今いる場所があまりに日常からかけ離れすぎていて受け入れるのに少し時間がかかります。
写真の難破船の残骸は、とても古い船のもの。打ち上げられている場所からして、もしかしたら「ひかりごけ事件」の船かもしれないと新谷さんが言っていました。もちろんそれはわかりませんが、そんなことを想像するのもとてもワクワクすることです。
寝心地はどうですか?
と、果たしてこの海を漕ぐことに”気合い”は必要なのかと思ってしまうくらいのコンディション。その分景色を満喫しましょう!
太平洋側からオホーツク側へ。
景色が一変しこれからは海から昇る朝日は見ることができません。
以前、バンクーバーアイランドを訪れたとき、早朝の港内を一人で漕いでいるカヤッカーを見かけたことがありますが、生活の一部として、または、日課のジョギングのように朝のパドリングを楽しめたら最高だなぁと妄想にふけったことがあります。知床ではほんの6日間でしかありませんが、短期間でも毎日こんな気持ちよさを味わえるのかと思うととても幸せです。
彼も朝ご飯を食べているのかな?
なんだか怪しい取引をしているようです。(本当は怪しくありません)
練習の成果ありですかね。
新谷さんは通常この遠征中には、必要がない限り岬に上陸することはないと言っていましたが、あまりに穏やかな日が続いていて、ここまで余裕でたどり着いてしまったので、ちょっと寄り道をしてくれたみたいです。
冬になれば積もった雪の上をスキーで歩くこともできますが、この時期は薮が多すぎて、山の中を歩くことはとても困難だそうです。
「73回目の知床」という新谷さんの書いた本がありますが、そこでは、台風が接近し非常に険しい海を漕いで岬を越えていました。
参加する前にイメージしていた知床は、そこまで荒れていないとしてももう少しハードなものを想像していました。ぼくらはラッキーすぎたのか、今のところなんの苦労もなく岬を越えることができました。
ぼくらは甘やかされすぎている!このままで終わるわけがない!ここは知床だよ!
ナイモノネダリ。そろそろメンバーも少しずつだと思いますが、苦労を望んでいたのかもしれません。
すると、なにやら丘の上で黒い点が動いている
ウトロ側は羅臼側に比べてヒグマの出没率がぐっと上がるよと聞いていたのですが、今まさにヒグマの登場です。
あまりにのんびりと漕げるので、広い湾に入ったところで新谷さんが
「よーし、ここから自由に漕いでいいぞ〜」
と一旦解散してくれました。
その時に発見したのが、このビーチに転がっていた巨大な背骨。大きさはぼくの乗っているカヤックくらいはあるだろうか。クジラかな?
すると
「今日はここに泊まる」
と新谷さん。
「え、まじ!?」
まだお昼前だけど今日はここでのんびりするらしい。新谷さんもここに泊まるのは久しぶりとのこと。
新谷さんが言っていました。
「嵐が来る前に素早く漕ぎ切ることもある。嵐を待ってゆっくり漕ぐこともある。それでも嵐が来ないこともあるけどな。」
・・・”嵐待ち”かいな。
以前、この遠征に参加していた落合さんがこの湾で同じく参加していた女性とカップルになったことからこの名前がついたとか。(たぶんそんなことを言ってたと思う)
今では海上保安庁の地図にも「通称”落合湾”」と記載されています。
ウニうまい!
というので、本当にのんびりさせてもらいました。
幸せ・・・
!!!
またヒグマ!
全員、カメラは構えていたと思うけど、あまりに突然で唖然としてしまいました。
彼はぼくらに気がついていたのでしょうか。これで、周辺の散歩も気をつけなくてはという実感がわきました。
ここはわき水が流れ込んでいるところです。潮が引いているうちは、岩のくぼみがプールになっているため、ちょっとしたお風呂。淡水が多く入っているので、上がったあとも体はサラサラです。
そこへ知床の観光船が近寄ってくるではないですか!観光客も驚きだったと思います。
「先住民がいるのか?」って
流木のバランスボードに挑戦!
嵐はまだかと考えているのでしょうか?
相泊(アイドマリ)から出発して3日目。一緒に漕いで、同じ景色を見て、焚き火を囲み3食を共にしていると自然とメンバーに一体感がうまれてきているような気がしました。それぞれ思うことはいろいろでしょうが、感動を共有していることに間違いないでしょう。このメンバーで良かったと思えることができたのは、とても価値のあることだと思います。これも新谷さんの人柄がそうしているのだとも思いました。大自然の中で大きな声を出して笑えることはとても幸せなことです。
充電、リセット、いろいろな言葉があると思いますが、この遠征が終わりに近づいていることを少し寂しく感じ始めている頃でした。
本日の航路:赤岩〜アブラコ湾(知床岬)〜落合湾
つづく
kenichi
by club_kintoun
| 2009-07-23 05:46
| シーカヤック